アルツハイマーのご主人
ご主人がアルツハイマーになった奥さんが知り合いにいた。数年間、ご主人がなくなるまで、たいへんな日を過ごされた。
幸い、稼ぎのいいご主人で、月80万円の完全介護の施設に入れるだけのお金はあった。どうせ主人が稼いだものだから、できることは全部やる。との決心だった。
肉体的な負担や、経済的な不安のない立場ではあったものの、精神的な負担は相当なものだっただろう。お酒の飲める人だったので、家内とよく愚痴などを伺った。
身体拘束は、家族にも大きな負担になる。
身体拘束
身体拘束は、興奮状態にあったり意識喪失の場合、一時的に危険防止のために行う。原則は禁止なのだが。
父が意識昏倒で救急搬送された時、苦しくて暴れたようで、病院で身体拘束を行った。これはまあ緊急でもあるし、病院=介護施設ではないケースだが、しかしそれでも痛々しい。
好き好んで親を拘束したい奴は普通はいない。
くさか里樹のヘルプマンの1巻。
18歳の高校生が、老人ホームに迷い込む。そこで身体拘束される老人を目にする。ひどいという非難に、じゃあお前やってみろ、と。実際、素人にそんなことをやらせる施設はないんだろうが、そこは漫画だ。そして現実に直面し打ちのめされ、職員が言い放つ。生命の尊厳、人権尊重、倫理道徳、いちいちキリがない。身体拘束は必要悪なんだよ。と。やりたくてやっているんじゃない。だがいろいろなものが足りない。
誇張はあるのだろう。しかし、タブーとして、あるいはできるだけ考えたくないと思っている話題が、ストレートに描かれる。
重い話題の中に、ぼけ老人にも「いい思い」をさせたいという主人公の純朴さが、気恥ずかしながらも救いになっている。
いつかは向き合うであろう問題だ。読んでみる価値は、十分にあると思う。
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